『大江戸春画ウォーズUTAMARO伝』(新潮文庫)装画を担当しました。

新潮社より6月に発売された文庫本、『大江戸春画ウォーズUTAMARO伝』の装画を担当いたしました。
この作品はかつて手塚治虫が主宰した虫プロの創設メンバーであり、『鉄腕アトム』の演出、『ジャングル大帝』や『宇宙戦艦ヤマト』の監督なども務めた天才アニメーター、故・山本瑛一さんによる歴史ファンタジーです。

山本暎一さんが亡くなられたのが2021年。この作品自体は30年前に書かれており、なぜ今新刊としてこの本が出版されたのかと申しますと、今回の企画を指揮してくださった編集の森重さんが、新潮社の倉庫で30年ぶりに原稿を見つけて読み返し、その面白さ、先見の明に驚いて、ご遺族の方の了承を得て出版に至ったのです。

私の記憶では日本で江戸の絵画、浮世絵が見直されブームになるのは2000年に入ってからのこと。
当時としては少し早かったのでしょう。でも今年、大河ドラマでは蔦屋重三郎の人生を描いた『べらぼう』が放送され、再び江戸の絵師たち、とりわけ喜多川歌麿に注目が集まっていることもあり、今がそのタイミング、と思われたのには頷けます。実際、このお話では蔦屋重三郎、恋川春町、朋誠堂喜三二など『べらぼう』の中心人物たちが登場し物語を作っています。

歌麿が主役とはいえ、この作品は歴史小説ではなく完全なファンタジーです。
と言ってもタイトルにも「春画」とあるとおり性的表現も多いので、子供が読めるようなものでもないのですが、まるでアニメーション作品のような自由で奇想天外なお話です。

装画については別案もありましたが、結果的に歌麿の『歌まくら』を描いたこの案に決まりました。
春画でありながらどこかカラッとした、ポップなイメージがこの作品に合っているように思います。
人物は『歌まくら』をベースに描いていますが、周りの魑魅魍魎については、歌麿の師匠であった鳥山石燕の絵を参考に私がオリジナルで考えた妖怪たちです。

今回はベテラン編集者である森重様、中村様、実は大学の先輩であったデザイナーの古閑様とご一緒することができ、大変嬉しかったです。
森重さんがあとがきで私の名前を入れてくださったこと、義母が大変喜んでおりました。
本当にありがとうございました。


喜多川歌麿の歌まくら